求職中でも任意整理できるか
1 任意整理の可否は返済原資の確保がカギになります
結論から申し上げますと、弁護士に任意整理を依頼する時点で求職中である場合、任意整理ができるケースとできないケースがあります。
求職中だと任意整理をすることが一切できないというわけではありませんし、法律上もそのような制限はありません。
しかし、仮に任意整理をしたとしても返済を開始できる見込みがない場合には、任意整理をすることはできません。
以下、求職中に任意整理ができるケースとできないケースについて詳しく説明します。
2 任意整理ができるケース
近い将来就業できる可能性が高く、任意整理後の想定返済額を超える返済原資(手取り収入から生活費を控除した残額)を確保できるだけの継続的収入が入ることが想定されるのであれば、求職中でも任意整理は可能です。
例えば、任意整理を依頼した時点では収入がないものの、2か月後には就業できて一定の収入が得られる見通しがある場合には、任意整理の対象となっている貸金業者等に対し、任意整理後の返済開始日を2か月以上先にしてもらうという交渉をすることも可能です。
言い換えますと、返済原資を確保できる見通しがない状態では、貸金業者等も通常任意整理には応じることはできないということです。
貸金業者等によっては、交渉段階で債務者の方の家計状況の提出を求めることもあります。
また、弁護士としても、任意整理では債務者の方が抱える問題の解決を見込めない状態であることを知りながら、任意整理を進めるわけにはいきません。
3 任意整理ができないケース
任意整理を依頼した時点で求職中であり、様々なご事情によって再就職の目途が立たない場合や、就業の見込みがあっても任意整理後の想定返済額を超える返済原資を確保できるだけの収入を得られそうにない場合、任意整理をすることはできません。
このような場合には、個人再生や自己破産など、任意整理以外の債務整理の手段をとることを検討する必要があります。